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Q&A; 「緊急一時保護センター」編


<1>そもそもここは……

Q1 ここって何するとこ?
A 「一ヶ月の間、身体を休め、『自立』に向けた心身の準備を整えるところ」と決められています (東京都と23区により)。


Q2 「自立」って?
A 非常に難しい! ですが、少なくともこの「自立支援事業」では、「仕事に就き、自分の稼ぎでアパート生活などの日常生活を維持していくこと」と考えられています。


Q3 誰がいつ始めたの?
A 東京都と都内23区が協同で(平等に金を出し合って)、2001年(平成13年)12月に、東京都と23区の「路上生活者自立支援事業」の一環としてスタートしたのが始まりです。以後、場所を5年ごとに移しながら、緊急一時センター、自立支援センターともに都内5ヵ所設置されています。


コラム 〜「自立支援事業」って?〜

東京都と23区は、「野宿する仲間が路上脱却するルートを作る」という目的で、「自立支援事業」というのを始めました。2000年11月に都内2ヶ所に「自立支援センター」を開設させたのが、その本格的な始まりです。

「自立支援事業」は、「緊急一時保護センター」→「自立支援センター」を軸にしながら、その他の施策によってそれらを補完することを想定しています(図参照。図は、東京都福祉局が 2002年11月に発表した資料の一部です)。東京都と23区はこの三段階を「一貫した支援システム」として捉えており、それぞれが「自立」に向けた動きの中でそれぞれの位置づけと役割を持っています。

最終目標は、地域でアパート生活をすることです。



2007年4月現在、「自立支援センター」は都内に5ヶ所(中央寮、北寮、杉並寮、葛飾寮、渋谷寮)、「緊急一時保護センター」は都内5ヶ所(世田谷寮、板橋寮、千代田寮、江戸川寮、荒川寮)にあります。東京都と23区は、当初の計画通り「自立支援センター」と「緊急一時保護センター」をそれぞれ都内5箇所に設置しており、定員数はそれぞれ計320人程度、450人程度の規模になっています。



Q4 職員の人たちは、どんな人たち?
A ちょっとややこしいので興味のない人は飛ばしてください。

1)「緊急一時保護センター」の場合、その運営は、東京都福祉局と特別区(23区)の一部の福祉事務所長などで構成される「運営協議会」で決定されます。そして、2)運営についての具体的なことは、特別区の一部事務組合である「特別区人事・厚生事務組合(略して特人厚)」という組織が決めています。そして、3)特人厚は、その運営を「有隣協会」(世田谷寮の場合)や「第一援護会」(板橋寮の場合)という社会福祉法人に委ねています。事務所にいる職員は、その委託された法人の職員やアルバイトです。




<2> 入ってはみたものの……

Q5 結局おれはいつまでここにいるんだ?
A 入所期間は「原則1ヶ月」と決められていますが、それより短くなることも延びることもあります。圧倒的に多いのは、延びるケース。福祉事務所からくる「延長決定」という紙切れ一枚で「はい、もう1ヶ月いて下さい」と言われる人がゴロゴロいます。しかし、「最大2ヶ月」と決められているので、特別な場合を除き、2ヶ月を超えることはありません。


コラム 〜二ヶ月を超える人って?〜

入所中にちょっと長期の入院(1週間以上)をした場合、その人は戻ってきたときに「新規入所扱い」となります。つまり、それまでどれだけ「緊急一時保護センター」にいようとも、「また新しく入ってきたこと」になるわけです。なので、入所してからいろんな病気が見つかって何度も入院している人の中には、入所してから3ヶ月も4ヶ月も経っている人がいます。しかし、そのたびに「新規入所扱い」となるので、書類の上では「2ヶ月以上滞在している人は一人もいない」ということになるわけです。わかったようなわからないような話ですけどね。


Q6 そしておれはどこへ行く?
A ここに入った人たちのうち、約半数が都内5ヶ所の「自立支援センター」に行っています。5ヶ所のどこにいくかは、どこから入ったか(受付をした福祉事務所は何区だったか)によって自動的に決まってしまうので、自分では選べません。

その他では、生活保護法の適用を受けてドヤや施設またはアパートに移る人、また、そのまま路上に戻る人たち、戻されてしまう人たちもいます。


Q7 一体誰がそんなことを決めるんだ?
A あなたが「自立支援センター」に行くのか、「生活保護」をとって施設に行くのかを決めるのは、実はあなたが緊急一時保護センターの入所受付をやった区の福祉事務所です。福祉事務所が「あなたにとって一番いいところ」を「アセスメント」の結果を元に判断し決定して、そこに送ることになっています。




<3>「アセスメント」の前に、これだけは読んでおきたい

Q8 「アセスメント」って?
A 「アセスメント」とは、日本語で言えば「評価すること、査定すること」です。緊急一時保護センターでは、「生活相談員」が決められた書式(これを「アセスメント票」と言います)にのっとってあなたの成育歴や就労歴を聞き、あなたと話し合い、そこで聞き取ったことを元にあなたが十分に働けるかどうかを評価することになっています。そしてその結果に健康診断の結果を加えて「参考資料」として受付をした福祉事務所に送り、福祉事務所はそれを「参考にして」あなたのこれからを決めることになっています。


Q9 「評価」するとは?
A そうです。「評価」されます。なのであなたはその「評価」にあなた自身の意見が反映されるよう、きちんと自己主張すべきだと思います。


Q10 でも、何と言っていいかわからないけど?
A 自分がこれからどうやって生きていきたいのかを話す、ということになりますが、「どうやって生きていきたいか?」なんて、簡単なようでめちゃくちゃ難しい質問ですよね。なので、とりあえず現実にある選択肢にしたがって考えることにしましょう。


Q11 どんな「選択肢」がある?
A とりあえず次の三つがあります。

1)再び路上に戻る。

2)「自立支援センター」に行って、そこで生活しながら仕事を探す。

3)「生活保護」を受けて、当面そのお金で暮らす。


Q12 「自立支援センター」って?「生活保護」って?
A 詳しく話し出すととても長くなってしまうので、詳しく知りたい人は、先に「自立支援センター」編、「生活保護」編を読んでください。

それらがどんなものかわかっているとして、先に進みます。


Q13 意見を言ったとして、ちゃんと聞いてくれるの?
A 不安だったら、できあがった「アセスメント票」を見せてもらいましょう。説明してもらいましょう。「アセスメント票」は、本人が請求すればきちんと見せる決まりになっています。「評価」次第ではあなたのこれからが変わってくるのだから、遠慮する必要はありません。


Q14 じゃあその「アセスメント」で行き先が決まるわけ?
A ところが必ずしもそうなっていないのでややこしい。もう一度Q8に戻ってみてください。あなたの行き先を決めるのは福祉事務所で、アセスメント結果はあくまで「参考資料」にすぎません。

だから、福祉事務所がアセスメント結果と違った判断をすることも、実際にはたくさんあり、それが「決定事項」となります。


Q15 納得できない場合はどうすればいい?
A 現在の「自立支援事業」には、福祉事務所の決定に不満があるときでも、その不満を訴えていく仕組み(「不服申立て」と言います)が用意されていません。しかし、あなたはその決定が不満だということを福祉事務所に訴えることができます。このとき、文書で「決定に不満があり、自分としてはこうしたい」と訴えましょう。そして返事も文書でもらいましょう。口では何とでも言いますが、文書は証拠となるので、文書ではそんなにいい加減なことは言ってこないはずです。各福祉事務所の住所を巻末に載せますので、必要なときに利用してください。


Q16 「不服申立て」って?
A たとえば生活保護法では各区の福祉事務所の決定に不満がある場合には東京都に訴えることができる制度が法律で保障されています(これも長くなるので、詳しくは「生活保護編」で説明します)。しかし、「自立支援事業」にはその制度がありません。しかし、諦める必要はありません。なければおかしいものなのだから、これから作らせていけばいいのです。それには一人一人が泣き寝入りせずに、不満なときは「不満だ」ときちんと声を上げる必要があると思います。そういうときは、人権機関や福祉サービスの苦情受付機関などに連絡を入れましょう。




<4>「アセスメント」以外でも、いろいろ知っておきたいこと

Q17 実は前に一度、「自立支援センター」に入ってたことがあるんだけど…。
A 残念ながら、 2007年2月現在、「自立支援センター」を再利用できるのは、前回の退所理由が「就労自立」か、または「病気等により生活保護」に限られています。「緊急一時保護センター」は、6ヶ月間隔を空ければまた入れるのですが・・・・・・。そのため、「自立支援センター」に一度入ったことのある仲間で、最初の退所理由が上記以外のものだった人が野宿に戻らないためには、現在のところ、生活保護を受けて他の施設に移るしかありません。野宿に戻りたくないという場合には、「生活相談員」や「福祉事務所職員」に「生活保護を申請したい」と強く要求していきましょう。実際、30歳台でかつて「自立支援センター」を利用したことのある仲間が、福祉事務所と交渉して生活保護を取ったこともあります。


Q18 実はおれは「自立支援センター」なんぞ行きたくないんだが……。
A とりあえず今回は1ヶ月だけでいい、という仲間は職員にそう伝えましょう。無理矢理、他の施設に入れられるということは絶対にありません。また、「緊急一時保護センター」は一度出ても、6ヶ月たてばまた入れます。 _


Q19 実は身体の調子が悪いんだけど……。
A 「緊急一時保護センター」にいる間に病院にかかることできます。「ここにいる間に治す」つもりで、いつでも職員に診察を受けたいと申し出ましょう。生活保護の中の「医療扶助」という制度で対応するので、お金は一切かかりません。また寮内には医師や看護師が来るので,体の具合の悪くなった場合に相談することもできます。


Q20 実は借金があるんだけど……。
A 借金の悩みを抱えている仲間は多いです。借金はたしかに厄介な問題ですが、みんなが思っているよりは簡単に解決する問題でもあります。お金がなくても借金のカタをつける方法はたくさんあります。「借金があるから住民票を移せない。なので仕事に就けない」と思っている仲間、あきらめる必要はありません。詳しくは緊急一時保護センター内での法律相談を利用するか、十分な弁護士費用を用意できなくても法律サービスを利用できる「法テラス」などで相談しましょう。

*日本司法支援センター「法テラス」
http://www.houterasu.or.jp/


Q21 「緊急一時保護センター」にいる間はお金は出ないの?
A 「緊急一時保護センター」にいる間はお金は出ません。最低限のものを現物で支給することになっています。三食とタバコもしくはお菓子が毎日支給されます。また、下着・日用品も支給され、お風呂・散髪もできます。また電話は、短時間であれば寮の事務室の中にある電話を使うことはできるので、職員に申し出ましょう。


Q22 技能講習が受けられるって聞いたんだけど?
A 「緊急一時保護センター」と「自立支援センター」では、免許取得や専門的技術など様々な講習が用意されています。手持ちのお金がなくても大丈夫です。「緊急一時保護センター」の入所期限に間に合わなくても、そのまま「自立支援センター」にまたいでの受講も可能です。自分のこれからの求職活動に役立ちそうなものがあったら、職業相談員の方や技能講習ステーションの職員に相談してみましょう。




<5>いざ?自立支援センターへ

Q23 「自立支援センター」はなかなか空きが出ないと聞いているが?
A 「緊急一時保護センター」の入所期間は「原則1ヶ月」ですが、自立支援センターの空き待ちや、出た後の処遇がまだ決まらないとの理由で、さらに1ヶ月間延長されることがあります。ですが少なくとも、今までに「自立支援センター」の空きがないために野宿に戻された人はいませんから、心配はいりません。


Q24 病気があるんだけど、それでも「自立支援センター」に入れるの?
A 仕事をするのに支障がない程度の病気(たとえば週一回の通院とか)であれば、「自立支援センター」に入るのに問題はありません。もちろん「自立支援センター」から病院にかかることもできます(生活保護の一種である医療扶助を利用しますから、「緊急一時保護センター」にいるときと同じでお金はかかりません)。ただ「フルタイム(常雇用)の仕事はきつい」というのであれば、「アセスメント」の際にはっきりと生活保護を希望するのがいいと思います。「緊急一時保護センター」から生活保護の施設に入り、自分の体力に合わせてパートの仕事をしている仲間もいます。


Q25 借金があるんだけど、「自立支援センター」に住民票を移せるの?
A この問題は Q20でもちょっと触れました。「緊急一時保護センター」ではサラ金など借金問題に関して、法テラスなどの専門機関を紹介してくれます。今までにも紹介を受けて、「自己破産」や「任意整理(弁護士に間に入ってもらい、月々決まった額を返すこと)」、「時効援用(業者からの借金は原則5年で時効)」などの手続きをとった人はたくさんいます。また取り立てを心配する人もいるでしょうが、「自立支援センター」は行政施設なので、取り立て屋がやってきても、職員が対応してくれます。

ただし、「自立支援センター」にいる間に解決のめどを立てておかないと、アパートに移り住んだ後、借金の取立てに苦しむことになってしまいます。十分な弁護士費用を用意できなくても法律サービスを利用できるための機関である「法テラス」などを利用して、早めに手を打っておくのがいいと思います。


Q26 履歴書を書いたことがないけど・・・、字を書くのが苦手だけど・・・、求人欄の字が読めないけど・・・、こんなときはどうしたらいいの?
A 「自立支援センター」には「生活相談員」がいます。一人で悩まずにまず生活相談員に相談してみましょう。
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