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東京新聞(2014.3.5)に「改正」生活保護法の省令案に関する記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2014-03-05 17:25:49 (1404 ヒット)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014030502000112.html


生活保護の申請 「まず書面」に逆戻り?


改正生活保護法を運用する際、実務の指針となる厚生労働省令案で、改正法の国会審議中に「政府案では窓口で申請を拒む『水際作戦』が助長される」として与野党が合意した修正や政府側の答弁が反映されないで、もとの政府案に「先祖返り」している部分があることが分かった。厚労省が先月二十七日から始めた意見公募(パブリックコメント)で明らかになった。支援者や有識者は、国民の代表である国会を軽んじる厚労省の対応に反発している。 (上坂修子)

厚労省はパブコメを二十八日に締め切り、四月上旬に省令を公布する方針。
政府は改正案を昨年五月に国会提出。与野党が修正で合意したが、昨夏の参院選前に廃案になった。政府は修正を踏まえた法案を昨秋の臨時国会に提出し、昨年十二月に成立した。

政府案は、申請時に保護が必要な理由など細かな内容を書く欄がある申請書の提出を義務付けた。野党が「これまで通り口頭申請も認めるべきだ」と批判したため、保護するか決まるまでに提出すればよいと解釈できる表現に与野党で修正。しかし、省令案の表現は政府案に戻った。
政府案は、自治体が扶養を断る扶養義務者に説明を求めたり、保護を始める時に扶養義務者に書面で通知したりする「扶養義務の強化」も盛り込んだ。国会審議で、野党が「利用しにくくなる」と追及したのに対し、厚労省は扶養義務を強化するのは極めて例外的な場合のみと答弁していた。
だが、省令案は逆に扶養義務を強化しないケースを列挙。(1)扶養義務者から費用を徴収する可能性が低い(2)要保護者が配偶者から暴力を受けている−などの場合以外は原則として扶養義務を強化する内容で、政府答弁はほごにされた。

NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は「法案修正は福祉事務所が勝手に申請を拒まないよう、解釈の余地をなくすためのもの。国会の意思を省令にも反映すべきだ」と指摘。生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士は「実務に影響するのは省令。国会でいくら良いことを言っても、省令に反映しなければ、問題のある対応が広まる危険がある」と話す。

厚労省の社会・援護局保護課は「申請手続きの運用は、これまでと何も変わらない。申請書は保護開始までに提出すればいい。扶養義務に関しても国会審議で示された懸念に応えるよう丁寧に運用する」と反論している。

<省令> 各省の長である閣僚が定める命令。日本の法体系では優劣は(1)憲法(2)国会が制定する法律(3)内閣が定める政令(4)省令−の順。


※この省令案の問題については、生活保護問題対策全国会議がパブリックコメントを提出しています。あわせてご覧ください。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-196.html

●関連記事
【更新】生活保護改革2法案の問題点に関するリンク集
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1772


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東京新聞(2013.4.10)に生活保護引き下げ問題に関する記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2013-04-12 18:14:16 (2378 ヒット)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013041002000125.html

 

生活扶助費、削り過ぎ 300億円 識者試算

 
 生活保護世帯への生活扶助費引き下げ問題で、法律家や生活困窮者の支援者らでつくる「生活保護問題対策全国会議」が九日、厚生労働省で記者会見し、独自の調査結果を発表した。厚労省が物価下落による引き下げ分とする五百八十億円のうち、三百億円が過剰に削られている可能性を指摘した。
 
 調査は日本福祉大の山田壮志郎准教授を中心に行われた。本紙との調査により、引き下げ分の算出で過大に計算された可能性が浮上している電気製品の支出割合について、全国百七十五の生活保護世帯にアンケートした。
 
 その結果、生活扶助費に対する電気製品の支出割合は平均0・56%。これに対し、扶助費引き下げの根拠となった厚労省による生活保護世帯の消費者物価指数(CPI)は、その支出割合を4・2%としていたことが山田准教授の試算で分かった。
 
 一般世帯は2・7%だが、厚労省は生活保護世帯も一般並みに電気製品を買うと仮定。生活保護世帯は家賃など除外費目も多く、相対的に電気製品の支出割合が高くなった。電気製品の物価下落幅は大きく、その支出割合を実際の七倍以上も高くしたために、算出されたCPI下落率が過大となり、生活扶助費の引き下げ幅を広げた可能性が高い。
 
 一方、食料品は値上がりした品も多い。山田准教授は低所得者の消費傾向を踏まえた筑紫女学園大の池田和彦教授による試算も紹介。厚労省が4・78%とした生活保護世帯のCPI下落率は、教授らの支出割合に基づいて計算し直すと1・67〜2・81%ほどにとどまるとした。
 
 山田准教授は「これは下位20%の所得者のデータに基づくもので、実際の下落率はもっと小さくなるだろう。三百億円は不必要な削減ではないか」と分析している。
 
 同席した反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は「円安による物価上昇、アベノミクスによる2%の物価上昇、消費税増税など、これから上がることはまるで議論されていない」と指摘した。
 
<生活扶助費> 生活保護法に基づき、生活困窮者に支給される扶助のひとつ。食費や衣料費、光熱費、日用品費など、暮らしに必要な費用を給付する。同法で生活扶助に加え、住宅扶助、医療扶助、教育扶助など8種類の扶助を定めている。
 
 
※中日新聞では同日の特報面に詳報が掲載されています。
記事のPDFはこちらでご覧になれます。
 
※記事のもとになった記者会見の資料は生活保護問題対策全国会議のブログでご覧になれます。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-115.html
 
 
 
 
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東京新聞(2012.12.6)に水曜官邸前アクションに関する記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-12-08 12:34:15 (1857 ヒット)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012120602000090.html
 

生活保護 埋没ダメ 給付基準下げに危機感

 
 
 生活保護の利用者が、衆院選の行方に危機感を強めている。門戸を狭める政府の見直しは中断したが、民主や自民など、保護費を抑える政党の主張が目立つからだ。制度の利用を線引きする基準が下がれば、最低賃金など他の低所得者の制度にも影響するが、ほとんど話題にならない。利用者らは、「重要な争点なのに」「命の最低ラインを下げないで」と訴える。
(橋本誠)
 
 「私たちの声を聞いてください」「最低限の生活を保障しろ」
 五日夜、冷え込む東京・永田町の歩道。生活保護見直しに反対する利用者や支援者が、国会や首相官邸に向かって声を上げた。財務省前でも「生活保護基準切り下げ反対」と訴えた。
 
 今でも、利用者の生活はぎりぎりだ。先月下旬、東京・永田町で開かれた「全国生活と健康を守る会連合会」と厚生労働省との交渉に出席した毛利吉彦さん(78)=福岡県=は「近所付き合いもできない」と訴えた。「お茶に誘われても断らなくてはならず、香典も出せない」というのが理由だ。
 家賃三万円のアパートで、病気がちな妻と二人暮らし。二〇〇四年三月、脳梗塞で倒れ、三十年以上勤めた会社を解雇された。直後、四十五歳の息子が肺がんで他界。蓄えを治療につぎ込んでいたため、生活保護に頼るしかなくなった。小泉改革で月約一万八千円の老齢加算が廃止に。朝食は食パン一枚という。
 
 政府の見直し案では、働ける年齢層には「就労支援」の強化が叫ばれている。札幌市内のシングルマザー(31)は「働きたくても仕事がないんです」と訴える。二人目の子の妊娠で、生活保護を受給。産後一カ月で就労指導を受けたが、子どもがいるだけで面接さえ受けられない企業が多かった。
 新宿区の男性(42)は、これまで首相官邸前などの抗議行動に参加した。五年前、日雇い派遣先の仕事が無くなり、生活保護を受けるようになった。「貧困のことを知っている政治家に頑張ってほしい」と願う。
 
****************************
 
 上記の記事で紹介されている行動は、〈このまますすむと困っちゃう人々の会〉が、「消費税増税」「生活保護改悪」「社会保障切り捨て」へと進む政治の流れに異議を申し立てるために、月1回、水曜日の夜に首相官邸前(東京・永田町)でおこなっているものです。
 次回は、2013年1月9日(水)18〜20時を予定しています。
 
※〈このまますすむと困っちゃう人々の会〉ブログ
http://komacchauhito.blog.fc2.com/
 
 
 
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朝日新聞東京版(2012.11.30)に東京都知事選挙に向けた稲葉剛のコメントが掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-12-06 12:58:29 (2189 ヒット)

 

記事の画像はこちらからご覧いただけます。

「拡大する貧困どう対応」

 
自立生活サポートセンター・もやい代表理事 稲葉剛さん
 
今の都政は、オリンピック招致や、臨海部開発に象徴される大規模プロジェクト
に巨額の税金を投入する一方、福祉や住宅、保育、医療といった都民の暮らし
に身近な分野にはあまり力を入れてきませんでした。その結果、東京は低所得の
年金生活者や、ワーキングプアの若者が安定した住まいを確保することすら難し
いまちになっています。
 
拡大する貧困問題にどう対応し、都民一人ひとりの暮らしをどう支えていくのか。
それらについて候補者は自らの考えを主張し、多くの有権者にも考えてもらいたい。
 
前都知事が女性や障害者を差別するような発言をしていたのは国際的な人権尊重の
流れに逆行していました。新しい知事には国際都市にふさわしい人権感覚を持った
人になってほしいです。
 
 
※こちらの関連記事もあわせてご覧ください。
朝日新聞東京版(2012.11.15)「チェック 石原都政」欄に稲葉剛へのインタビュー記事が掲載
http://www.moyai.net/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=286
 
 
 
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朝日新聞東京版(2012.11.15)「チェック 石原都政」欄に稲葉剛へのインタビュー記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-11-22 12:53:13 (4993 ヒット)

 

http://www.asahi.com/special/2012tochijisen/intro/TKY201211150340.html

 

〈チェック 石原都政〉
困窮の現実、知ろうともせず

 

「自立生活サポートセンター・もやい」 代表理事 稲葉剛さん

 

Q、石原氏は貧困問題とどう向き合ってきましたか。

 住まいに困窮する人が増えても、向き合おうとしなかった。あくまで個人の問題と矮小化してしまう考え方でした。

 2008年にインターネットカフェに寝泊まりする人たちについて「200円、300円で泊まれる宿はいっぱいあるんだよ。そこへ行かず、ファッションみたいな形で泊まって」と発言しました。

 今の時代、そんなに安く泊まれる所はありません。私たちの抗議を受けて事実誤認を認めたが、「ファッション」という認識は撤回しませんでした。まさに象徴的な発言で、不確かな知識をもとに「貧困は自己責任」と主張する。現実を知らないし知ろうとしない。

 

Q、政策はどうでしょうか。

 低所得者の暮らしを改善することに関心がなく、お金を持つ人のための都市空間をつくることに税金を費やしたと言えます。その結果、貧困者はさらに暮らしにくくなり、格差を拡大させたのです。

 04年には組織再編で、住宅局をなくしてしまった。ネットカフェ難民や、住まいに困窮する高齢者が増えても、都営住宅は増やさない政策を続けてきました。

 

Q、住宅の数は世帯数を上回り、足りているという見方もありますが。

 確かに民間では空き家が増え、住宅ストックとしては足りています。でも、借りられない人が増えている。特に高齢者の一人暮らしは入居差別が激しい。孤独死を警戒され、なかなか貸してもらえません。

 生活保護受給者が入れる「福祉可」の物件は老朽化し、劣悪なものが少なくない。こうした入居差別をなくすには、行政のサポートが必要だと思います。

 

Q、ネットカフェに入店する時に本人確認を義務づける都の「ネットカフェ条例」で
     改善を要望しましたね。

 身分証を持っていない人も多く、利用できないのは問題です。ネットは就職活動のツールの一つ。使えないと情報が遮断し、社会から孤立してしまう。

 派遣切りが社会問題化した時には支援のためのパンフレットを店内に置いたが、そうしたアプローチもできなくなる。ハローワークの登録カードなどでの代用を提案したが、受け入れてくれませんでした。

 

Q、生活保護のお年寄りが犠牲になった高齢者施設「静養ホームたまゆら」の火事は
    都民にも衝撃的でした。

 都内では特別養護老人ホームなどの受け皿が足りません。墨田区は生活保護受給者に遠くの受け入れ先を紹介せざるをえず、担当者は苦渋の選択だったと言っていました。

 石原都政だけの問題ではないが、住宅政策や高齢者福祉政策の貧困がもたらした部分が大きいのではないでしょうか。

 

Q、住まいの貧困問題を解決するため、新知事にはどんなことを期待しますか。

 何よりも貧困の現実と向き合う姿勢を求めたい。東京では住まいに困窮する人が多く、低所得者向けの住宅政策の拡充を期待しています。

 具体的には民家の空き家を活用した借り上げ型の公営住宅の増設や、入居差別をなくすための公的な入居保証制度の創設など、住まいの安全網を充実させてほしい。

(聞き手・黒川和久)

 

■住まいの貧困問題

 派遣労働の規制緩和などで非正社員が膨らむ中、2008年のリーマン・ショックによる経済危機で雇用環境は悪化。「派遣切り」が相次ぎ、ハウジングプア(住まいの貧困)は広がった。

 一方、都によると、増え続けてきた都内の住宅は1968年に世帯数を上回り、その差は拡大。08年は総世帯数598万人に対し、住宅数は678万戸。住宅が世帯を1割強、80万戸上回っている。

 こうした状況から石原都政では都営住宅について建て替えはしているが、00年以降、新規の建設はせず、管理戸数を抑制する政策を進めてきた。

 今年3月発行の都住宅マスタープランでは「既存ストックの有効活用を図り、困窮する都民に公平・的確に供給する」と記す。抽選なしで困窮度の高い人から順に入居を認める仕組みなどを引き続き実施する。

 ただ、都営住宅は主に家族向けに建てられてきた経緯などから、特に単身者向けが不足気味。今年8月に225戸を募集した単身者向けの抽選は平均47倍の高倍率だった。

 群馬県渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」で09年3月に起きた火事では、犠牲になった10人のうち6人が墨田区の生活保護受給者だった。行き場のないお年寄りが東京を離れ、地方の無届け施設に集められる実態が浮き彫りになった。

 

■いなば・つよし 1969年、広島県生まれ。東京大大学院(地域文化研究専攻)中退。94年、新宿駅西口の地下道から野宿者を強制退去させた都に抗議したのをきっかけに支援活動を始めた。01年「もやい」を湯浅誠さんらと設立。もやいで2千世帯のアパート入居保証人を引き受け、年間200人の生活保護申請に同行する。「住まいの貧困に取り組むネットワーク」の世話人も務める。

 

*****

 


読売新聞(2012.11.5)に「『社会的企業』の経営苦境」という記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-11-10 05:50:08 (2385 ヒット)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=67545&from=navlc

 

 

「社会的企業」の経営苦境

 

 

 国や自治体の財政難を背景に、NPO法人などの社会的企業が、
新たな公共サービスの担い手として期待されている。生活困窮者や
若年無業者(ニート)への支援で実績を上げており、雇用の受け皿
としても注目される。しかし、多くが経営難で苦境に立たされている
のが実情で、利用者と共倒れになりかねない状況だ。「支える側を
支える」ための環境整備が求められる。

 

◆頼みの寄付減る

 

 「あと数年しか活動が持たない」。生活困窮者を支援しているNPO
法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)の稲葉剛代表理事
は危機的な経営状況を明かす。

 

 2001年に設立。生活保護の申請を手伝ったり、アパートを借りる
際の保証人を引き受けたりしてきた。現在、約940世帯の保証人に
なっている。活動資金は寄付が頼り。湯浅誠理事らが「年越し派遣村」
を開設して注目を集めた08年末前後には約1億円集まったが、その
後は先細りだ。支援者だった企業の経営破綻も影響し、10年度は
赤字が約2100万円、11年度は約1800万円に上った。

 

 生活困窮者には、精神疾患など様々な問題を抱える人も多い。
行政の一律的な対応では解決困難で、きめ細かな支援ができる
社会的企業の存在感が高まっている。

 

 「失業後、ネットカフェで暮らしていたが、所持金がなくなり、何日
も食べていない」。同法人には、こうした相談が来所だけで年間に
約900件、電話では約2000件寄せられる。「活動が滞れば、
利用者を直撃しかねない」。稲葉代表理事は頭を抱える。

 

 路上での雑誌販売の仕事を提供してホームレスの自立支援
を行う有限会社「ビッグイシュー日本」(大阪市)も資金繰りが苦し
く、約4000万円の累積赤字を抱える。

 

 福祉分野に限らないが、NPO法人に対する日本政策金融公庫
総合研究所の調査(12年)では、活動上の問題として「事業収入
の確保」(63・2%)や「補助金・助成金の確保」(40・3%)が上位。
社会的企業の多くが「経営は綱渡り」と口をそろえる。

 

 「ワーキングプアを支援している自分がワーキングプア」「結婚や
健康を考えれば、30歳が“定年”」。こんな窮状を訴える若手スタッ
フも多い。経済産業研究所の調査(06年)では、常勤事務スタッフ
の年間平均給与は166万円にとどまる。

 

◆支援側が「貧困」

 

 収益が上がりにくいのは、利用者に負担を求めにくく、収入が
寄付や行政の補助などに限られることが背景にある。九州地方
の法人幹部は、「利用者には交通費さえ払えない人もいて、負担
を求めるのは無理。一人一人の自宅に出向き、きめ細かな支援
をするには人手もお金もかかり、経営との板挟み」と嘆く。行政
の補助事業でも、不安定な運営を強いられている場合が多い。
「単年度の事業が多く、人材育成などの計画が立たない」「事務所
代が計上できないなど費用が安すぎ、行政の下請け扱い」と、
苦境を訴える声が現場から聞こえる。

 

 「K2インターナショナルジャパン」(横浜市)は、「働く社員が、結婚
でき、子どもも育てられる待遇にしている」という数少ない社会的企業だ。

 若者の自立支援を行っている横浜市の株式会社「K2インターナショ
ナルジャパン」は、飲食店などの自主事業を積極的に展開し、活動の
資金源にしている。「社員が家族を養えるような待遇を確保したい」
との考えからだ。しかし、多くの団体では経営管理のノウハウが乏し
く、同様の取り組みが成功している例は少ない。

 

 こうした実態をよそに、社会的企業へのニーズは高まるばかりだ。
鳩山元首相は09年、「新しい公共」の創造を掲げ、福祉分野を
はじめNPO法人などが主体的に公共サービスを担う社会の実現を
目指す考えを示した。

 

 

 生活困窮者への支援策を議論している厚生労働省の検討会では、
社会的企業が担い手となる案を打ち出した。

 こうした流れを受け、厚生労働省が9月に打ち出した困窮者対策
でも、社会的企業による就労機会の提供などが打ち出されている。
若年無業者支援や子育て、教育分野での活動も広がっており、
NPO法人数は、02年の約6500が11年には約4万2000まで増えた。

 

 これに対し、玄田有史・東大教授は「今後もニーズは高まるだろうが、
今のような情熱先行の運営では長続きしない。利用者のためにも、
『支援者支援』に本腰を入れる必要がある」とクギを刺す。

 

◆融資や経営指導

 

 1990年代から社会的企業が注目を集める海外では、支援の
取り組みが進んでいる。

 

 イギリスでは、公的機関が積極的な融資や専門家による経営指導
などを実施。困窮者の就労・職業訓練の場を提供するなど福祉、
医療分野を中心に5万5000社以上が活動しているという。アメリカ
では、民間支援機関が資金や経営ノウハウを提供し、ホームレス問題
などで実績を上げている。韓国も07年、人件費の補助や税・社会
保険料を減免する仕組みを制度化。障害者支援で活躍している。

 

 日本では11年、NPO法人への寄付を促す制度改正が行われた
が、普及は進まず、実効性のある支援策は乏しい。塚本一郎・明治
大教授は「資金、人材育成、経営ノウハウの面で横断的、継続的に
支援する機関が必要。社会的企業は困難な問題の解決策の選択肢
を広げるだけでなく、新たな雇用の受け皿としても期待される。支える
環境を整えることは、日本の社会・経済の活性化につながる」と話して
いる。(大津和夫)

 

 

【社会的企業】

 明確な定義はないが、貧困など社会的課題についてビジネス的
手法も用いて解決を目指す団体。NPO、株式会社など形態は様々。
「ソーシャルビジネス」とも呼ばれる。経済産業省の研究会は事業者
数約8000団体、雇用規模約3.2万人と推計している。

 

 

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毎日新聞(2012.9.24)に生活保護「現物給付案」に関する記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-09-26 11:38:29 (2258 ヒット)

 http://mainichi.jp/select/news/20120924k0000m040065000c.html

 
 

生活保護費:
「現物給付案」受給者ら危惧 厚労省も難色

 
 衆議院の解散時期が取りざたされる中、総選挙に向けて生活保護費の現物給付を
打ち出す動きが広がりつつある。自民党は食費代わりに食事用回数券の配布を想定
し、現物給付の導入をマニフェスト(政権公約)に盛り込む見通し。橋下徹大阪市長が
代表に就く「日本維新の会」も新党の綱領に現物給付の導入を明記する。受給者の
間には「安心して暮らせなくなるのでは」との不安感が広がり、厚生労働省も
「差別を助長する恐れがある」と難色を示している。【遠藤拓】
 
 
 生活保護費は「生活」「教育」「住宅」など用途別に給付方法が定められ、緊急時
などを除いて現金を給付する。受給者が金銭を支払う必要のない現物給付は「医療」
と「介護」だけだ。
 
 自民党は先月まとめた政権公約最終案で、自治体が保護費の現物給付と現金給付
を選べる制度の導入に言及。具体的には食券の配布や自治体による家賃の振り込み
を想定している。保護費の1割カットや不正受給への厳格な対処も含めて、公約の
「完成版」に盛り込まれる見通しだ。
 
 同党「生活保護に関するプロジェクトチーム」座長の世耕弘成参院議員は「現物
給付は受給者の心理的なハードルになり、自立を促すことになる。貧困ビジネス減少
にもつながる」と強調する。
 
 地域政党である大阪維新の会は先月末に次期衆院選公約「維新八策」の最終案
を公表。代表の橋下大阪市長はその後、公約ではなく国政新党・日本維新の会の
「綱領」との見方を示したが、そこで「現物支給中心の生活保護費」と明記した。
 
 一方、民主党には現時点で現物給付を主張する動きはない。
 
 こうした状況に、生活保護を受給している東京都内の40代男性は「決められた場所
に毎食、弁当や食材を受け取りに行くのか。安心して暮らせず、就職も難しくなる」と
表情を曇らせた。埼玉県の20代女性受給者も「急な出費に備え食費を切り詰めてやり
くりしてきたが、それもできなくなる」と嘆いた。
 
 ケースワーカーの経験が長い東京都区部の自治体職員は「現物給付をしても年金や
給料をこっそり受け取る不正受給は防げない。受給者にもメリットはない」と言い切る。
厚労省幹部は「食券は転売されれば不正の温床となる。導入にも多大なコストと時間が
かかりそうだ」と述べ、現物給付には否定的だ。
 
 生活保護問題対策全国会議は6月、他団体と共に現物給付などの改革案を批判する
公開質問状を自民党側に提出したが、回答はない。事務局長の小久保哲郎弁護士は
「弱い者をいじめて人気を取ろうとの意図を感じる。本当に必要なのは社会保障の底上げ
では」と疑問を呈する。
 
 
 
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「いのちをつなぐ生活保護は恥じゃないデモ」に関する報道

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-08-12 02:15:47 (2607 ヒット)

毎日新聞(2012.8.9)、東京新聞(2012.8.9)に
「いのちをつなぐ生活保護は恥じゃないデモ」
に関する記事が掲載されました。

 
****************
 
http://mainichi.jp/select/news/20120809k0000m040075000c.html
 

生活保護:「恥じゃない」
利用者ら霞が関をデモ

 
 「命をつなぐ生活保護は恥じゃない」。生活保護の利用者や支援者らが8日、東京・霞が関の官庁街周辺をデモ行進した。
 
 当事者の声を知ってもらおうと有志が企画、約100人が参加した。「苦しい時みんなで使おう生活保護」「改悪にNO」などと書かれたボードを持った参加者が「厚生労働省は当事者の声を聞け」「財務省は人の命(にかかわること)を財源(の有無)で語るな」などと、それぞれの庁舎前で訴えた。
 
 生活保護を巡っては3月時点の受給者が過去最多の210万人を超え、お笑い芸人が母親への扶養義務を果たさなかったことが批判されたことなどから、「バッシングの声が高まり制度改悪につながるのでは」と不安の声が上がっている。【遠藤拓】
 
****************
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012080902000121.html
 

生活保護 最後のとりで 
失明、車いす…役所は「働けないのか」

 
  私たちの暮らしを左右する社会保障と税の一体改革関連法案が、国会で与野党の攻防の「取引材料」にされた八日。その周辺を、あるデモ隊が練り歩いた。「生活保護は恥じゃないぞ」。声を張り上げた多くは、いま生活保護を利用している人たちだ。
 (小川慎一)
 
 「ぜひ知っておいてほしいことがあります。生活保護は最後のとりでなんです」。東京・霞が関周辺の車道。車いすで生活する日笠方彦(まさひこ)さん(51)=東京都練馬区=は、歩道にいるサラリーマンたちに訴えかけた。この日デモに参加したのは百三人。支援団体の呼び掛けなどでつながった。
 
 生活保護を利用して十年。一九九五年三月、自宅でバイクの修理中、タンクに移し替えたガソリンにたばこの火が引火し、大やけどを負った。会社を解雇され、再就職が決まったばかりだったというのに、両目の視力、左足は膝から下、両手も親指以外を失った。
 退院後、千葉県内の施設に入所したが、「ここで死ぬのではなく、街に出たい」と一人暮らしを決めた。銀行口座の残高が二千円となり、生活保護を申請することに。だが役所の窓口で男性職員から言われた一言は思いがけないものだった。
 
 「あなた、働けないんですか」
  日笠さんは「まさか自分に言っているとは思わなかった」と話す。ハローワークに電話しても、できる仕事はないと言われ続けてきた。
口座残高を見せた途端に、職員が女性に交代し、申請の手続きが順調に進んだことを、今でも忘れられないでいる。
 「いま振り返ると、水際作戦だったのかな」と日笠さん。
保護費抑制のため、申請用紙を渡さないなどして、間口を狭くしている自治体もあるとされる。窓口で門前払いされ「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死した男性もいた。
 
 最近では、タレントの母親の受給が問題視されるなど、一般の人たちからの生活保護バッシングともいえるような状況も生まれている。
財政難の中、生活保護を抑制しようという動きは国でも地方自治体でも強まる。消費税が増税されて生活が厳しくなっても、制度そのものが手厚くなる可能性は低い。
 
 「国会では、財源か解散かの話ばかりで、ちゃんと僕たちを見ていない」。視力を失ったまなざしが、民意を託されたはずの人々の茶番を見つめている。
 
 
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東京新聞(2012.7.4)に板橋・簡易宿泊所火災に関する記事が掲載

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-07-07 01:24:32 (1871 ヒット)

記事のPDFはこちらからご覧になれます。
PDF版には、〈もやい〉の稲葉剛のコメントも掲載されています。
 
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012070402000110.html
 

「生活保護のつらさ 分かち合えた」
板橋宿泊所火災1カ月で元居住者

 
 
 生活保護受給者が生活していた東京都板橋区の簡易宿泊所「ふじや旅館」
で、経営者と入居者が死亡した火災から一カ月が過ぎた。今年三月まで
一年七カ月間、旅館で暮らした男性(63)は、胸を締め付けられるよう
な思いでいる。「生活保護を受けなければならないつらさを、入居者と
分かち合えた大切な居場所を失ってしまった」
(堀祐太郎)
 
 現場は今も焦げ臭い。焼けた衣類が散らばり、むき出しのすすけた柱が
惨状を示す。献花に訪れた男性は、焼け跡のガレージで灰をかぶった赤い
ワゴン車を指さした。「これに乗って、ふじやに来たんだよな」。記憶が
一挙によみがえり、大粒の涙がこぼれた。
 
 中学を卒業して青森県から上京。日雇いの建設作業員として現場を渡り
歩いたが、二〇一〇年六月に心筋梗塞で倒れた。健康保険も年金もない。
医療費はすべて実費となり、区の福祉事務所に駆け込んだ。「建物が古く
てあまりお勧めできないけど」と、職員はふじや旅館を紹介した。
 
 生活保護収入を狙って狭い所に大人数を押し込む業者もある。でも、経営者
の羽田隆英さん(54)は違った。その日のうちに車で迎えに来て、買い物を
手伝ってくれた。
 
 良い思い出しかない。カツ丼を作ってくれ、酒を酌み交わした。居住者たち
は体を壊すなどして生活保護を受けている人ばかり。「みじめだな」「病気が
治ってここから出られたら…」。それぞれの思いを明かすと、つらさが和らいだ。
 
 あくまでも定住先が決まるまでの一時避難で、入居は三カ月限定の約束
だった。しかし、区は退去を迫らず、一年七カ月も暮らした。区は火災後
の会見で「職員を定期的に派遣し、施設環境は常に把握していた」と説明し
たが、男性は「ほとんど来たことはなかった」と語る。
 
 入居希望者は後を絶たなかった。男性は今年三月での退去を決め、区から
紹介されたワンルームマンションに移った。その後も、羽田さんらに会いに
旅館を訪ねた。「早く体が良くなるといいね」と、火災前日にも声を掛けら
れた。その直後の悲劇。男性は今も現実感がわかないという。
 
 同じ境遇の仲間と別れての独り暮らし。体調が悪く身寄りのない男性には、
孤独死への不安がつきまとう。「一時しのぎのように旅館に泊まり続けては
いけないことは分かっている。でも、同じ境遇の仲間や羽田さんにみとられ
て死ねれば良かったな」。本音がポツリとこぼれた。
 
 
 
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OurPlanet-TVで生活保護問題・緊急会見が報道されました。

カテゴリ : 報道記事  投稿日時: :  2012-06-01 13:37:36 (2374 ヒット)

OurPlanet-TV(2012.5.30)で生活保護問題の緊急会見が報道されました。
 
以下のページでは動画を見ることができます。ぜひご覧ください。
 
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1369
http://www.youtube.com/watch?v=WNB8PG5eEK8
 
 
 

「命の問題だ」生活保護バッシングに緊急会見

 
 
芸能人の母親の生活保護受給報道を契機に、テレビで連日、生活保護不正受給報道が続いている現状に対して、生活保護問題対策全国会議は30日、抗議の緊急記者会見を開いた。今回の生活保護たたきによって、生活保護へのイメージを悪化させているとして、「生活保護を必要とする人が申請しづらくなる。命の問題だ」と抗議した-。
 
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表の稲葉剛さんは、「政治的な背景がある」と解説。「メディアが騒ぎ、自民党が取り上げて、政府がそれに乗っかっていくという恐ろしい状況になりつつある」近年の日本社会で「日本型の新型自己責任論が広がって来ている」と危機感を表明した。
 
生活保護をめぐっては、今年4月、自民党の片山さつき議員と世耕弘成議員がメンバーの「生活保護問題に関するプロジェクトチーム」が、生活保護給付水準の10%の引き下げや、医療費の抑制、食費や被服費の現物支給化、保護期間の「有期制」の導入などの施策を打ち出している。さらに、芸能人の記者会見が開催された25日に、小宮山厚生労働大臣が、受給者を親族扶養や、自治体が調査権限の強化などに関して、法改正を検討するという考えを示している。
 
一方、今年3月に日本テレビを退職した水島宏明法政大学教授は、一連のテレビ報道について、取材者側の偏見、誤解、不勉強を指摘。生放送された芸能人の記者会見で、レポーターが『恥ずかしくないのですか?』という質問をしたことに対し「生活保護は恥ずかしいものだというメッセ―ジを国民に伝えた。制作者側は差別的な発言であるという意識を持っていない」「連日、生活保護問題を報道しているのに、この会場に、テレビカメラが一台もないこと自体、今のテレビ局の抱える問題を象徴している」と憤った。
 
また、弁護士の林治さんは、「今でさえ、生活保護に関しては恥ずかしいと受給を申請しない人が多い。今回の件で、ためらう人が増えれば、餓死者が出ることにもなりかねない。」と懸念を表明した。
 
生活保護受給者で現在仕事を探している男性(50代)は、バッシングによって就労することがさらに難しくなっており、「普段のスーパーでの買い物でも後ろめたさを感じているのに、報道を見て、精神的に追い詰められている」と苦しい気持ちを訴えた。
 
また、去年まで生活保護を受けていた女性(40代)は、「報道では生活保護をもらう人の列を写すが、列を並んでいる一人ひとりが、どんな暮らしをしているのか考えて欲しい」と訴え、衣服などを現物支給にする案に関しては、「普通の人間の暮らしとして考えて欲しい」と話した。
 
 
 
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オンラインで簡単にできます(「VISAカード」、「Masterカード」)。
http://www.moyai.net/modules/pico/index.php?content_id=15

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