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<もやい>生活相談データ分析調査

カテゴリ : 生活保護 投稿日時 : 2011-8-1 10:08

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<もやい>生活相談データ分析調査

 

 もやいでは、アパートに入居する人に保証人を提供する事業とともに、当面の生活に困窮している人の相談に応じる生活相談事業を行っている。相談の方法は、面談・電話・メールと三種類あり、面談の場合には週1回、電話の場合には週2回の相談日が設けられている。 

 2001年のもやい設立以来、面談を行った人の数は、2011年6月時点で約2000人にのぼる。これらもやいを訪れる相談者の実態を明らかにするために、面談時に記入している相談票の分析調査を行った[1]。今回分析の対象にしたのは、2009年7月から2010年9月までの15カ月間に、生活相談のためにもやいを訪れた889人分の相談票である。ただし、複数回相談に来ている人については、初回の相談内容のみを分析対象にしている。また相談票のなかで不明の項目がある場合、その都度その票は除外したため、項目ごとに有効回答票数は異なっている[2]

 

●性別・年齢分布

相談者の性別は、男性814人(91.6%)、女性70人(7.9%)で、男性の相談が圧倒的多数を占めている。また男性/女性というわけ方にはあてはまらないトランスジェンダーの人も5人(0.6%)いた[3]。もやいの相談は日本語対応を基本としているため、外国人の相談はほとんどない。



平均年齢は47.1歳で(男性47.5歳、女性42.3歳)、男性でもっとも多いのは50代、女性でもっとも多いのは30代と、女性の方が年齢層が若い。また10〜30代の若年層からの相談も29.0%あった。
 
もやい相談者の年齢分布を、もやい相談者と類似していると思われる野宿者の調査[4]、ネットカフェ難民の調査[5]の年齢分布と比較したものが、下記のグラフである。野宿者は50〜60代が約8割を占めており、中高年層が多いのに対し、ネットカフェ難民は、20代と50代に二極分化している。一方もやい相談者では、もっとも多いのは50代だが、全体的に野宿者よりも若く、多様な年齢層になだらかに散らばっている。
 


 

●世帯構成

 
世帯構成は、男性の場合は単身世帯が93.5%と圧倒的多数を占めている。女性の場合も単身世帯が61.4%ともっとも多いが、親きょうだいとの同居、夫婦のみ世帯などもあり、男性と比べて多様である。なお、世帯については、ここでは事実婚も含めて「生計を同じくし、かつ居住を同じくする単位」ととらえているが、夫と妻子が家族分離されて別施設にいるケースなど、一般的な家族/世帯の概念があてはまらないようなケースも散見された。また「出身家族」とは本人が生まれて育つ家族、「形成家族」とは本人が婚姻して形成する家族の意味で用いている。
 

●居所

 相談者がもやいに相談に来た時点での居所は、持家・賃貸住まいが24.6%、野宿状態が46.1%と、野宿者が相談者の半数弱を占めている。相談時点ではネットカフェにいても、週の半分は野宿しているなど、実際には居所を転々としている人もおり、一定期間居住できる安定した住まいがない人をホームレスと考えるなら、野宿状態、知人宅への居候、ホテルやネットカフェ住まいなども含めて、66.0%が広い意味でのホームレス状態にある。

 野宿状態は、男性ではもっとも多く49.9%と半数にのぼるのに対し、女性では5.9%と少ない。女性の場合は持家・賃貸住まいが70.6%ともっとも多く、次に多いのが知人宅への居候と、居所は男女による違いが顕著である。


世代別では、30代以下の若年層に、ホテル・ネットカフェなどに住む人がやや多く、50代で野宿がもっとも多くなっている。

●仕事

 
相談時において、仕事を持っているという人は、28.3%と少数である。
 
男性と比べて女性の方が仕事を持っている割合が高く、年代別では50代で仕事を持っていない人がやや多い。
仕事を持っている場合の雇用形態では、臨時・アルバイト、日雇い、都市雑業など不安定なものがほとんどで、都市雑業に分類したもののなかには、路上でアルミ缶回収をしている、山谷地域で野宿者を中心とした就労対策事業として紹介されている仕事に月1〜2日就き[6]、月1万円強の収入があるという人なども含めており、極端に低収入の場合もある。
 
男女別では、男性に日雇いや都市雑業をしている人が多く、年代別で見ると、高齢になるにしたがって都市雑業をする人が増えている。高齢者は一般の労働市場から排除されているためだと考えられる。


 

●所持金(貯金含む)

 
相談者がもやいに相談に来た時点での所持金(貯金含む)の平均額は12,929円だった。しかし数十万の貯金を持っている少数の人が平均額を押し上げており、中央値(データを小さい順から並べたときの中央に位置する値)は500円だった。つまり多くの人が、所持金がほとんどなくなってから、もやいに相談に来ているということである。男女別では、女性の方が所持金のあるうちに相談に来る傾向がある。



●健康状態

 
相談者の健康状態については、何らかの心身の不調を抱えているとの訴えがあったのが72.8%と、大半だった。しかしそのうち医療機関にかかれている人は、所持金額などから考えると、多くはないと思われる。男女別では、女性は男性に比べて、心身の調子が悪い人が多く、特に精神的な疾病を抱えている人が多い。年代別では、若年層は精神的な疾病・不調を抱えている人が多く、高齢になるにしたがって身体的疾病・不調が増加している。


●生活保護

 
もやいに相談に来た時点で生活保護を受給中という人が、144人(19.0%)いた。環境の劣悪な宿泊所で生活保護を受給しているがそこから出たいと希望している場合などである。
これらの144人をのぞいた745人のうち、77.5%がもやいに相談した結果、生活保護を申請することになっている(ここには、相談者が同行支援者をともなわずに単独で申請に訪れたため、実際に申請したかどうかの確認がとれていないケースも含まれている)。男女別で見ると、女性は男性と比べて生活保護の申請に至らない場合が多い。
年代別では、50代の申請率がやや高く、若年者はやや低い。その他、生活保護の申請以外にも、ホームレス自立支援事業、婦人保護事業などの利用を申請した人もいた。
50代の相談者については、もっとも野宿状態にある人の割合が高く、仕事を持っていない人の割合も高く、生活保護申請数も高いことから、50代は仕事に就くことが難しいが、福祉制度の利用につながることもこれまでは難しく、総じて困窮した状態に置かれている年代であることがわかる。


 

[1] 本調査は、立命館大学研究推進プログラムの研究助成(若手・スタートアップ)を得て、データ入力を、うらまつあやこ・小野寺みさき(早稲田大学大学院教育学研究科修士課程)・上間愛(東京大学大学院人文社会系研究科修士課程)が行い、分析・本報告書の執筆を丸山里美(立命館大学産業社会学部准教授)が行った。
[2] なお、より詳細な分析結果は後日報告書にまとめる予定だが、個人情報保護の観点から、個々の相談内容についての問い合わせには応じられない。
[3] トランスジェンダーの5人については、数が少ないため、男女別の分析においては除外している。
[4] 野宿者のデータについては、厚生労働省『ホームレスの実態に関する全国調査』(2007)を利用。
[5] ネットカフェ難民のデータについては、厚生労働省『住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書』(2007)を利用。
[6] 山谷地域にある城北労働・福祉センターにおいて、高齢者特別就労対策事業求人紹介/公共事業求人紹介として、登録をした野宿者を中心に、公園や道路の清掃等の仕事が輪番制で提供されている。
 
 
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