2009年11月4日付東京新聞に 無料低額宿泊所問題に法規制検討、という記事が掲載されました
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無料低額宿泊所問題 国が本腰 法規制を検討
ホームレスらに部屋を提供する代わりに、生活保護費を管理して大半を家賃などとして天引きする「無料低額宿泊所問題」。一部の入所者が先月、刑事告訴に踏み切った背景には、行政のチェックが及ばないだけでなく、シェルター(緊急一時宿泊施設)不足で、区市町村がこうした施設を受け皿としてきた事情がある。問題の広がりを受け、国は規制強化と住宅政策の見直しを始めた。 (橋本誠)
「一カ月十二万円の生活保護費から無断で天引きされ、支給されたのは約二万円と十キロの米だけ。まともな生活はできなかった」。先月三十日、東京都内で開かれた厚生労働省の検討チームの初会合。千葉市内の宿泊所にいたホームレスの男性(64)は、業務上横領容疑などで施設側を告訴した経緯を語った。
棗(なつめ)一郎弁護士は告訴の狙いを「行政のチェックが働かない貧困ビジネスの実態を捜査機関に解明してもらう」と話す。
無料低額宿泊所は貧困層の増大で、首都圏を中心に広がった。長妻昭厚労相は初会合で「悪質な集団も問題だが、本来は行政やその周辺が声をかけるべきだった」と行政の対応の遅れを指摘。チームは法規制などを検討し、来春までに対策をまとめる方針だ。
ホームレス支援団体の間で無料低額宿泊所が問題になったのは十年ほど前。自立生活サポートセンター・もやいの湯浅誠事務局長は「一九九九年ごろ、野宿者から『新手の手配師が出始めた』と聞いたのが発端」と話す。しかし、不満を言うと追い出されるため、入所者が声を上げることはなかったという。
小久保哲郎弁護士は「ホームレスは支援者らが同行しないと、生活保護申請を拒否されることが多い。そこに目をつけ、申請に同行して保護を受けさせ、利益を上げた」と指摘する。
解決策としてNPO法人「ほっとポット」の藤田孝典さんは「利害関係者の金銭管理は原則禁止し、社会福祉士らを施設に配置する基準をつくり、良い宿泊所には補助金を出すべきだ」と提言する。
シェルター不足の解消も不可欠だ。全国のシェルターと自立支援センターは九月現在で三十三カ所(定員約千七百人)。今後、東京都など十八カ所で約三百五十人分が増設されるが、野宿者の増大に追いつかないことが懸念される。
もやいなどの支援団体は「福祉事務所には住居を用意する予算がなく、貧困ビジネスに依存せざるをえない。『他からホームレスが流れ込む』とシェルター設置を拒む自治体もある。国が自治体に設置を指導してほしい」と訴える。
【無料低額宿泊所】 住宅を借りて就職活動をするのが難しい生活困窮者に無料か低額で部屋を貸し、自立を支援する施設。社会福祉法の第2種事業で、都道府県や政令指定都市に届け出るだけで設置できる。厚労省の調査では6月末現在、全国に439あり、入所者は約1万4000人。都道府県別の施設数は東京170、神奈川103、千葉49、埼玉34。無届け施設も1437に上る。
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